ビジネスプランへの生成AI活用をテーマにMITのコンテストとプラン作成例をご紹介した前回に続き、今回は、生成AIで作成したビジネスプラン「EcoBottle Campus - 大学生向け水筒シェアリングサービス」を、内容の完成度、独自性・創造性、市場性・顧客ターゲット、実現可能性の4の視点から生成AIの審査員がどの様に評価し、改善点を提案したかをご紹介します。
エグゼクティブサマリー

EcoBottle Campusは、大学構内におけるペットボトル廃棄問題を解決するための革新的な水筒シェアリングサービスです。専用アプリを通じてキャンパス内の設置ステーションから水筒を借り受け、使用後は任意のステーションへ返却できるシステムを提供します。本ビジネスプランでは、サービスの背景と目的、市場分析、サービス詳細、ビジネスモデル、マーケティング戦略、および財務計画について詳細に解説します。環境と経済の両面から持続可能な解決策を提案し、大学コミュニティにおける資源の効率的な利用を促進します。
4つの視点による評価結果
1. 内容の完成度:5点(優秀)
- 実証実験の結果や市場分析、財務計画、リスク管理まで詳細に記載されており、ビジネスモデルとしての完成度が非常に高いです。
- 3年間の展開計画と損益分岐点まで明示されており、計画性も十分です。
2. 独自性・創造性:5点(優秀)
- 水筒のシェアリングという斬新な発想に加え、IoT搭載や自動洗浄・UV殺菌機能を組み合わせることで、技術的にもユニークです。
- ポイント付与などのゲーミフィケーション要素も新しく、学生層に響きやすい設計です。
3. 市場性・顧客ターゲット:4点(優秀寄り)
- ターゲット層(大学生)やその行動傾向(ペットボトル使用頻度、SDGs意識など)の分析が具体的で説得力があります。
- ただし、全国展開へのスケーラビリティの部分で大学ごとの協力体制や競合対策にやや詳細が不足しているため、若干の減点。
4. 実現可能性:4点(優秀寄り)
- 実証実験での成果やクラウドファンディングによる初期資金調達、衛生管理体制など、実行段階への備えが明確です。
- 一方で、IoT機器のメンテナンスや長期的なユーザー維持についてはもう少し具体的な実施プランが欲しい点があります。
総合評価
評価項目 | スコア |
---|---|
内容の完成度 | 5点 |
独自性・創造性 | 5点 |
市場性・顧客ターゲット | 4点 |
実現可能性 | 4点 |
合計(最大20点) | 18点 |

改善ポイントの提案(フィードバック)
1. 市場性・顧客ターゲットの深掘り
現状の課題:ターゲット層の規模やニーズは明確ですが、「どの大学に優先導入すべきか」「学内の意思決定者(購買部、環境部門など)へのアプローチ方法」などの戦略が弱いです。
改善提案:
- 大学を「環境活動が盛んな学校」「キャンパスが広い」「給水インフラが不足している」などでセグメント化し、優先導入リストを示す。
- 大学との提携交渉プロセスや過去の連携事例(例:ABC大学)から得た知見を整理して明示。
- 利用意向調査(アンケートやSNSアンケート)のデータを挿入すると説得力アップ。
2. 実現可能性に関する運用オペレーションの明確化
現状の課題:IoT水筒の故障・紛失時の対応や、洗浄設備の実際の設置・維持管理フローがやや曖昧です。
改善提案:
- 故障・紛失時のペナルティルールや保険対応など、利用規約のサンプル案を提示。
- 洗浄ステーションの具体的な運用イメージ(例:夜間一括洗浄/週1回の専門点検など)を明示。
- 人件費50万円/月の内訳を示し、どの程度の体制で回るのかを視覚化(例:1名で5ステーション担当など)。
3. 財務面での堅実性の裏付け
現状の課題:黒字化が2年目から急激に進んでおり、成長前提がやや楽観的に見える恐れあり。
改善提案:
- 悲観シナリオと楽観シナリオの2通りでPLを作成(敏感度分析)。
- 大学からのサブスク料や広告収入の獲得確度を、過去の営業トーク事例や想定協賛企業リストで補足。
- 売上ベースではなく「LTV(1ユーザーの生涯価値)」ベースの収益性も示すと投資家受ける。
4. 社会的インパクトの定量化

現状の課題:環境効果の数字(CO₂削減など)は良いが、社会的認知・波及効果に関する記述が薄い。
改善提案:
- 導入校でのSDGsランキング上昇や、エシカル企業との連携効果を図表でアピール。
- 他大学への波及、地域自治体や省庁(例:環境省)との連携可能性についても触れる。
生成AI審査員の評価は適切でしょうか?、改善ポイントの提案は十分でしょうか?
今後、欧米のビジネスプランコンテストを皮切りに、生成AIを活用したビジネスプランの増加、そして生成AIを活用した一次審査が定着すると予想されます。
次回は、生成AIを活用してビジネスプランの質を高めつつ、さらにブラッシュアップする方法をご紹介します。