従業員表彰制度と新規事業開発・イントレプレナー(社内起業家)支援の融合

mo4ma
11.08.25 11:01 AM - コメント
従業員表彰制度は、従業員の功績を定期的かつ一貫性を持って評価し、モチベーション・満足度・生産性向上を狙う制度です。以前より「勤続年数」「成果」「企業文化の体現」などを基準に、「褒賞」「公表」「金銭・非金銭的報奨」を授与してきましたが、最近では、静かな退職への対策から社員の士気向上、企業文化の醸成に、様々な企業で新しい形態の従業員表彰制度の導入機運が高まっています。また、新規事業開発やイントレプレナー(社内起業家)支援に積極的な企業では、挑戦・失敗・創造を評価する文化づくりの一環として従業員表彰制度と融合させて取り組んでいます。

今回は、従業員表彰制度(ERP: employee recognition program)について国内外の事例を交えご紹介します。

1.従業員表彰制度が注目され、導入が広がる理由

2.従業員表彰制度の日米企業の事例

  • 以下は、企業文化の体現、社員同士のつながり強化、長期的なエンゲージメント形成など、積極的に従業員表彰制度に取り組んでいる企業の一例です。

    • The Disney Company(ディズニー)

      「Walt Disney Legacy Award」は卓越した功績を称える制度で、受賞者は1%未満。ピア間で送られるポジティブなメッセージの仕組みや、表彰向けのバッジなども整備されており、企業文化として多角的に運用されています。


    • Hewlett Packard Enterprise(HPE)
      年に一度の「Team Member Appreciation Day」で従業員を称える機会を設け、「評価は日々の姿勢」という精神を社内に浸透させています。

    • Unilever(ユニリーバ)
      「Unilever Heroes Award」という表彰制度を通じて、年間で最も貢献した社員を表彰。受賞者は年次リーダー会議(Change Leaders Conference)へ招待され、さらなる価値創出のインセンティブとなっています。

    • Al Habtoor Group(アルハブトゥール・グループ)
      アラブ首長国連邦(UAE)を拠点とする、中東で最も成功し、尊敬されている複合企業の一つです。従業員の優れた才能とプロフェッショナリズムを称え、報奨するために、2007年から毎年「Employee Excellence Awards」を実施しており、従業員が投票で選ぶ職場環境改善を表彰する「Employees' Choice Ballot」も行われています。
    • ローソン
      「ローソン・チャレンジ大賞:Lチャレ)は、現場で起きている仕事の創意工夫や業務改善、新たなアイデアを「実行」した1年間の取り組みを集め、発表・表彰しています。

    • 楽天グループ
      新人向けの「新人賞」は、毎月朝会で表彰、若手のモチベーションアップに貢献し、「楽天アワード」は、全社的に優秀な従業員を月次で称える場を設け、成功事例の共有を促進しています。

    • サイバーエージェント
      エンジニア・クリエイターに特化した「CA BASE AWARD」は、普段スポットライトが当たりにくい職種の活躍を称え、また、半期ごとの全社総会で個人・チーム・プロジェクトを大々的に表彰し、トロフィーや金銭インセンティブを授与しています。

    • 株式会社CINC
      「ベスト・オブ自画自賛で賞」は、月ごとに最も力を入れた取り組みを自ら「自画自賛」形式でポスター発表し、役員と社内投票によって表彰者を選出しています。

    • 太陽パーツ株式会社
      「大失敗賞」は、挑戦の結果失敗してしまった社員を半年ごとに表彰し、表彰状と金一封を授与。挑戦のプロセスを評価し、失敗を前向きに捉える社風を醸成しています。

3.なぜこれらの取り組みが効果的なのか?

日米企業の事例に見られる様に、従業員表彰制度は企業と従業員を新たなWin-Winに導きます。
  • 主体性を促す仕組み:自らの取り組みを表現・発表し評価してもらうことで、自発的な行動や改善意識を喚起
  • 企業理念や価値観との連動:行動と理念が結びつくことで文化浸透が促される
  • 多様な評価対象:成果だけでなく、挑戦やチームワーク、クリエイティブな貢献も評価することで、多層的な価値を認める風土を醸成
  • 共感・参加を生む仕掛け:社員参加型(投票・選考など)を通じて「自分ごと」化し、エンゲージメントを向上



4.従業員表彰制度と新規事業・イントレプレナー支援の融合ポイント

従業員表彰制度と新規事業・イントレプレナー支援は非常に相性が良く、積極的な企業が以下のような形で表彰制度と融合させて取り組んでいます。

  • 挑戦・失敗・創造を評価する文化づくり
    新規事業開発は成果が出るまでに時間がかかり、失敗も多いため、「挑戦したことそのもの」や「学び」を評価する表彰制度として実施

  • プロセス評価+成果評価
    初期フェーズではプロセス(リサーチ、仮説検証、チーム形成)を評価し、後期フェーズでは成果(MVP開発、ユーザー獲得、売上)を評価。両方をカバーする「二段構え」の表彰制度を実施

  • 社員エンゲージメント向上・参加促進
    社内ベンチャー制度を導入しても参加者が限定されるため、表彰制度として挑戦への心理的ハードルを下げ、応募を促進、表彰を通じてプロジェクトを知るきっかけ作りと巻き込み型のイノベーション文化を醸成

5.新規事業・イントレプレナー支援との融合事例

以下は、従業員表彰制度と新規事業・イントレプレナー支援を融合して実施している企業の一例です。

  • KDDI ∣ KDDI∞Labo / ∞チャレンジ表彰制度
    新規事業創出プログラムの中で、社内外問わず挑戦した社員に対して「チャレンジ賞」「共創賞」などを表彰、成果に至らなくても、仮説検証や顧客開拓など、行動重視型の評価を実施

  • 味の素 ∣ A-START(社内公募型新規事業)
    一般社員のアイデアから実際に子会社化されたケースもあり、事業化フェーズに進んだチームは社内表彰対象、社長賞や特別賞として評価され、昇進にも直結

  • パナソニック ∣ Game Changer Catapult
    社内外ピッチ、CES出展などを通じた新規事業の加速支援制度、社内表彰イベントで成果・挑戦を称える文化を形成

従業員表彰制度と新規事業・イントレプレナー支援は、オープンイノベーションも併せ、企業と内外の人材との関係を次のステージへと進化させます。
Award Forceのプラットフォームを適用することで、巨大な複合企業グループ、公的機関、民営組織の一例の様に、あらゆる従業員表彰制度から新規事業開発、イントレプレナー支援を柔軟に融合した表彰運営が可能です。

従業員表彰制度と新規事業・イントレプレナー支援は、オープンイノベーションも併せ、企業と内外の人材との関係を次のステージへと進化させます。
Award Forceのプラットフォームを適用することで、Al Habtoor Groupの様なコングロマリット企業から、Softchoiceの様なワールドワイドなIT企業、そしてニューサウスウェールズ州政府の様な公的機関まで、あらゆる従業員表彰制度から新規事業開発、イントレプレナー支援を柔軟に融合した表彰運営が可能です。

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